Aaron Neville “Warm Your Heart” (1991)

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Year1991
StudiosUltrasonic Studios,
Conway Studios,
Ocean Way Recording,
Russian Hill Recording,
Skywalker Ranch,
Conway Studios,
ProducersLinda Ronstadt,
George Massenburg
EngineersGeorge Massenburg,
Nathaniel Kunkel,
Jay Gallagher,
David Farrel,
Marnie Reley,
Craig Silvey,
John Hurst,
Brett Swain,
Bob Edwards,
M.T. Silvia,
Noel Hazen

以下、私の感想文

ニューオリンズのR&BシンガーAaron Nevilleの1991年にA&M Recordsに移籍して初めてリリースされたソロアルバムです。

兄弟で結成したNeville Brothersの三男でも有名ですが、60年代からソロシンガーとしのキャリアもあるようです。

本作は「最も音の良いアルバム」の一つとして挙げられるような超ハイクオリティなサウンドプロダクション、そして楽曲、パフォーマンスも珠玉の作品で最高っす!

プロデュースはLinda RonstadtとGeorge Massenburgの二人。

Linda Ronstadtは有名な女性シンガーで1989年に自身のアルバムでAaronと共演し、デュオで歌った曲がグラミー賞のベスト・デュオ賞に選ばれていて、これっがキッカケで本作のプロデュースを担当することになったのだと思われます。

そしてGeorge Massenburgは正に天才と称されるタイプのレコーディングエンジニアで、録音だけでなく25歳の時にパラメトリックイコライザーの設計に関する論文を発表するなど録音機器の設計開発などもこなし自身のブランドGMLはハイエンドな録音機器として有名です。

長年Linda Ronstadtの作品のプロデュースと録音をしていたこともあり、本作にLindaと共にプロデューサーとして名を連ね、レコーディングエンジニアも担当。

本作はGeorge Massenburgが1997年のインタビューで過去20年間担当した作品の中でも一番満足できる最高のクオリティーと語ったほどに充実したサウンドプロダクションで、とにかく響きが美しい。

ダイナミックレンジがとても広くアタックがバシッと出ているけど耳に痛い成分が一つもなく、上から下まで絶妙なバランスでハーモニーが構成されていてホントにため息が出るほど素晴らしい…個人的にリファレンス音源として目指したいサウンドですね〜

とにかくAaronの歌声が美しすぎて美しすぎて…歌がホントにとんでもなく上手い。上手いとか言っていいのか分からないほどに上手い(錯乱) そんな素晴らしい歌声を100%キャプチャーして魅力を最大限落とし込んだ録音で。

spars-code
本作のではないけどSPARKコードの例 By Source, Fair use, https://en.wikipedia.org/w/index.php?curid=10235944

CDのバックーカードにSPARSコードだと思われるDDDというマークが表記されているので、本作は基本的にデジタルドメインでのレコーディングで製作されたものと考えられます。とはいえアナログな機材だって使ってるだろうけど。

ちなみにSPARSコードというのは昔のCDによく記載されていた製作過程「録音/ミックス/マスタリング」の各工程がアナログとデジタルのどちらの領域で行われたかを示すための目印です。CDの場合は3つめのマスタリングの部分は絶対にDが付くらしい。

本人の言及よるとマルチトラックレコーダーに使われたのは当初は三菱 X-850でしたが最終的にソニーのPCM-3348を使用したらしいです。

極めてクリーンな音質と称される自身のブランドGMLのプリアンプ等を中心に使用したと思われ、デジタルの特性も最大に生かした広いダイナミックレンジ。だけど、温かみもちゃんと持ったサウンド。タイトル通り心温まる。

リバーブ感がとってもたまらないですが、個人的に好きな部分は低音の感じ。一聴すると不足しているようにも感じるけど実はすごくしっかりしてコシのある低音だなあ、と感じるんですよね〜

レコーディングは1990年の3月から1991年の3月まで1年間かけて行われたようで、地元のUltrasonic Studiosの他にConwayやOcean Wayなどの有名レコーディングスタジオがクレジットされています。どうやら予算や時間には困ってなかったようですね笑

楽曲群はRandy NewmanやJhhn Hiattなどカバーを中心に結構POPな方面にアプローチしていますが、同郷のAllen Toussaintの曲や、まんまNeville Btorhersな自作曲などニューオリンズっぽさも少々加えてます。

楽曲のチョイスやセッションミュージシャンの選定は自身もシンガーでカバー中心のLinda Ronstadtがイニシアチブを録ったんですかね〜?良い塩梅になってると思います。

オーケストラがあったり、打ち込みなシンセやリズムセクションがあったりとアレンジには幅もありますが、全体的にゴスペルっぽい雰囲気がありますね。個人的に全然教会に馴染みは有りませんが、なぜかゴスペルチックな楽曲は好みなんだよな〜

リリース直後アメリカでは一般チャート的にドカンとヒットといかなかったようですが、じわじわと売れ続け最終的には100万枚の売上を記録。あとニュージーランドでは大ヒットだったらしい。なんでだ?笑

まあしかし良いものがちゃんと認められていいですね〜 そんな感じで色々と理想的な音源なのです。。

(終)

参考にしたページ(思い出せる限り)