エレファントカシマシ “エレファントカシマシ5” (1992)

Year1992
Studiosエッグスシェップスタジオ
ソニー・ミュージック信濃町スタジオ
ソニー・ミュージック六本木スタジオ
ミュージックインスタジオ
Producers宮本浩次
Engineers内海幸雄
田中英章
鈴木信雄
佐々木志了
山崎岳男

田中三一

以下、私の感想文

日本のロックバンドで結構知名度も高いと思われるエレファントカシマシの1992年にリリースした5枚目のアルバムです。

個人的に一番好きな日本のバンドで宮本さんとチャゲアスのASKAさんが2大カリスマボーカル&ソングライターなんですよね〜笑

で、エレファントカシマシは基本的にどのアルバムも好きなんですが「一番好きなのは?」と問われた時に挙げるのが、この5枚目の「エレファントカシマシ5」。

ファンの間でもそんなに人気盤では無さそうですが、楽曲も録音の具合もとても面白くて(変で)大好きなのです。

作詞作曲からプロデュースまでボーカルの宮本さんのワンマン体制。おそらくレコード会社からサウンドへの口出しもほぼされてなさそうで、そのおかげかホント他には出せない作品に仕上がってます。

元々彼らはRCサクセションみたいな感じの日本語ロックだったところ、2枚目のアルバムのラストの曲辺りから3枚目のアルバムで独自のスタイルを確立したように思います。

持ち前のメロディーセンスと日本文学から影響を受けたという言葉遣いが特徴のロックバンドになったのですが、4枚目の「生活」で行き過ぎてバランスがやや崩壊…笑(でもコアなファンからは最高傑作と言われているそう)

その後、当時付き合っていた彼女にフラレたショックでバンドを一旦休止するなどありつつ、レコード会社から音源出せと言われ1年7ヶ月ぶりにリリースされたというアルバムが本作です。

そんな背景からかサウンドも歌詞も重苦しい雰囲気なんだけど、メロディーは一応バンドが売れないといけないという危機感から(?)かちょっとだけポップっていうワケの分からん絶妙なバランスになってるんですね〜

2曲目とか「シャララ」なんていうちょっとポップな言葉をチョイスしてるのに、「シャララ…ッ…シャララ…ッ」って修行僧の錫杖の音かよ!という雰囲気だったり、とにかくポップにしたいけどどこかセーブしちゃう感じの妙なバランス笑

絶対こんなん売れるはずねーだろ!って思わず突っ込んでしまいますが、それがまた魅力的で。

デビュー当時からロッキング・オン・ジャパンが大プッシュしていたためか、初期の彼ら特に歌詞について何か色々とカッコイイそれっぽい考察がなされてたみたいですが、本作は単に「彼女にフラレてバンドも何か思うように売れない」っていう内容なのでそこも非常に親近感が湧きます。

レコーディングは基本山中湖のスタジオで行われたようで、初期の彼らはどうやら河口湖やら山中湖での合宿スタイル?を好んでたのでしょうかね。

録音したスタジオにはオールドNEVEをカスタマイズしたコンソールがあったらしい…というのが関係しているかどうかは分かりませんが、録音の具合がこれは1992年の録音作品なのか!?って思うような雰囲気でまた最高なんです。

バンドのバックボーンの一部に70年代のハードロック的なサウンドがあると思うのですが、ドラムがゲートで切られてたり(おそらく)、ちょっとウェットなギターの感じだったりが70年代(中期以降かな?)なサウンドを少し感じます。

おそらくデジタルリバーブじゃなくて部屋にマイク立てて収録した系だと思いますが、このギターの残響具合がまた好きな感じ。バンドの歪んだギター1本で始まる時にも全然リバーブかけなかったりするのは個人的に好きじゃないんですよね〜

一方でボーカルはかなりドライで、もうスピーカーからツバが飛んできそうなくらい近い音像。多分ハンドマイクとかを使って録音されたと思われる無骨な音で「ぶ」とか「ぷ」とかの吹かれ的な突発音の具合が最高!

歌のダイナミックレンジがとても広いので結構録音が難しそうな気がしますね。

1曲目の「過ぎゆく日々」なんかも囁き風の入りから絶叫までかなりダイナミクスがあって聴き応え抜群ですね〜 当然マスタリングもちゃんとダイナミックレンジが適切にあります。(少なくともオリジナルCD盤では)

全体的に一般的な感覚での「良い音」という感じでは無いと思うのですが、こういった変だけど面白い作品がメジャーの舞台で、きっとお金もそれなりにかけた上でリリース出来てたんですから余裕のある良い時代ですよね〜 

そんな感じで素晴らしいのだけど、まあ売れるわけないだろっていう内容で、やっぱり商業的に売れることは無く(笑)、次の2枚のアルバム「奴隷天国」と「東京の空」でエピック・ソニーとの契約が終わるのでした…

そして、その後ポニーキャニオンと契約し更にポップな路線に変化して一度目のブレイクを果たしたのは懐メロ番組で紹介されるので多くの人が知るとおり。

ワタクシ、ポニキャ時代も東芝EMI時代も、なんなら現在のユニバーサル時代も好きです笑

でも特に東芝以降(2000〜)は時代の流れで音圧戦争に巻き込まれマスタリングが凄まじく突っ込んでるので、いつの日か…適切なダイナミクスのある感じでリマスターして欲しいところです(涙)

2012年のMASTERPIECE以降はもう限界突破しすぎて…(白目)

(終)