Year | 1973 |
Studios | E.M.I. Studios (Abbey Road Studios), Phonogram Studios |
Producers | Roy Wood |
Engineers | Alan Parsons, John Kurlander, Nick Webb, Roger Wake |
以下、私の感想文
英国のシンガーソングライターであり色んな楽器を操ることが出来るRoy Woodの1973年にリリースされた1stソロアルバム
60年代にThe Moveというバンドで人気を博し、70年代にはJeff Lynnと共にEelectric Light Orchesteaを結成したり(後に脱退)、Wizzardというバンドでグラムロックやプログレ等のシーンで活躍するなど非常に才能溢れる人物ですが、案外一般知な名度は低め
このソロアルバムは作詞作曲はもちろん演奏も、そしてミックスダウン、はたまたジャケットのアートワークまで全て1人で行ったというまさしく「完全な」ソロアルバムなんですが、楽曲も録音の感じも、大好きですね〜
ギター、ベース、ドラム等のベーシックな楽器を演奏するというのは、同時期にPaul McCartneyがやってたり割と今でも一般的にありますが、この人はチェロやファゴット、シターン、バンジョー等など、ロックにしては珍しい楽器を色々と演奏する変わり者です笑
しかも当時まだ20台前半という若さっていうね!情報化社会の現代ならいざしらず、60年代にこういう色々な楽器を1人で練習して楽曲に取り入れるとはかなり変な人ですな〜
Roy Woodは17歳から稼いだお金をもっぱら中古の変な楽器購入に当てていたそうで、完全なソロアルバムを作ろうと思いついた時、集めた「変な楽器」も自分の音楽に試してみようと考えたそうな。
その結果tr1の最初に流れるハーモニウム以外(これだけは何故かエンジニアのJohn Kurlanderが弾いたらしい)のブックレットに記載されている10数種類にもおよぶ楽器を取り入れてモノにしてしまうという。
多分同時期に製作していたMoveのアルバム”Shazam”でも近いテイストのアレンジがあったりしますが、バンドでは色々な楽器を試すことは出来なかったのだと思います。(だからって普通全部一人では弾かないだろ笑)
ただ珍しい楽器を弾いてみましたという感じではなくて、ロックを基本としながら巧みに各楽器の「音色」を混ぜ込むセンスがほんとに素晴らしい!
ロックにストリングスなどを取り込むという発想は後のElectric Light Orchestraにもつながりますね。
そんな本作は1973年にリリースなんですが、1969年には完成していて発表できる準備は整っていたらしいです。
しかしながら当時活動していたバンドのMoveのリリースがある等という理由からか、マネージャーの「無限の知恵」(Roy Woodによる皮肉)による判断でこのソロアルバムは半ばお蔵入りとなってしまい結局数年後のリリースとなってしまったという話です。
1969年に発表していたら、果たしてどうだったのか…歴史のif的な話で妄想が膨らみますな〜
しかしながらバンドで結構精力的に英国中をツアーで回っていたりシングルのリリースも重ねている中、いつ楽器の練習してたのか謎すぎます笑
録音は英国ロンドンのE.M.I StudiosとPhonogram Studiosにて
E.M.I StudiosはBeatlesの”Abbey Road”を録音した後にAbbey Road Studiosに改名、Pink Floydの等も録音している英国を代表するレコーディングスタジオですね。(現在は経営難らしい)
Phonogram Studiosは後にthe JAM/Style CouncilのPaul Wellerに買い取られSolid Bond Studiosになってます。(今はもう無いらしい)
エンジニアの名前に有名なAlan Parsonsが載ってますが当時21歳の若さなので、てっきりテープの録音ボタン押す係くらいなのかと思っていたら、tr2の”Wake up”の水のチャプチャプする音は彼のアイデアだったらしく結構クリエイティブに仕事をこなしていたみたいです。
この水の音がすごく良い音で、どうやって録ったのかな〜って思ってたのですが、2本の容器(ブックレットにはWater Bowlと記載)に水を満タンに入れてパーカッション的に振って演奏したのをステレオマイクで録ったという話で、Alan Personは黄色いカッパを着ながら録音してたという逸話がありました。
けっこう近い音像に聴こえるけどマイクは大丈夫だったのかな笑
他にも1曲目の”Songs of Praise”ではテープの回転率を操作してハイトーンなコーラスを作ったりドラムのフィルだけ後録りぽかったり色々ギミックがあるのですが、全体的にクリアで良い感じのステレオ感があるクオリティの高い録音作品になってると思うんですよね〜 アレンジが良いからなのでしょうなあ
制作した1969年にリリースされた他の英国ロックバンドの作品と比べてもとても高水準な出来な気がします。
と、ここまで色々な楽器を一人で弾いてるとか録音が良いとか書きましたが、本作は単純に楽曲が素晴らしい。
変人的なエピソードとか奇抜な格好をしたりしているので忘れがちですがRoy Woodは英国チャートトップ10以内のシングルヒットをいくつも繰り出した類まれなるポップセンスを持つメロディーメイカーなんですよね〜
結局わたくし根がメロディー主義なので、メロディーメイカーのRoy Woodが好きなんです。
いくつも楽器が弾けても良い曲書けなきゃ自分の作品は作れないよね!アタリマエネ
(終)
参考にしたページ(思い出せる限り)