Sublime “40.Oz to Freedom” (1992)

40oz300

Year1992
Studiosmanbo,
studio city,
universal city
ProducersSublime
Engineersanthony,
steve
wade,
dave,
geoff

以下、私の感想文

レゲエやスカ、ヒップホップ、パンク等を若者のフレッシュなフィーリングで混ぜ混ぜしたバンドSublimeの1992年にリリースされた1stアルバムです。

個人的に高校時代一番好きだったバンドで、この1stとメジャーデビュー盤は死ぬほど聴きましたね〜

私が色々な要素が入った音楽が好きな傾向にあるのは、このSublimeから始まったように思えます。

初期のSKUNK盤がMCA/Gasoline Alley盤と内容が微妙に違うと最近知り(有名な話みたい笑)速攻でゲットして(amazonで1円)、久々に聴き直したのですがやっぱ最高!

より洗練された録音のメジャーデビュー盤よりも全体的に荒々しい音でお世辞にも「キレイ」な録音とは言えない本作。

だけど、狙っても作れないバンドの魅力をプリミティブにパッケージング出来ているところが魅力なアルバムだと思うのですよね〜

幼馴染のベースのEricとドラムBud(あと後のバンドマネージャー)がやっていたパンクバンドに大学を辞めたBradが加入したことがきっかけで結成されたというSublime。

当時レゲエやスカにハマっていたBradが入ったことで雑多な要素を持つバンドの基盤が作られたようですが、結成当初はその音楽スタイルからライブハウス等の出演を拒否られたりしていたそうです。

s_skunk

レーベルロゴ。これが背中にプリントされたTシャツとかパーカーをあの頃はしょっちゅう着てたな〜(遠い目)

そこで自主レーベルSkunk Recordsを立ち上げて「Skunk Recordsっていうレーベル所属のレコーディングアーティストなんだけど?(まだ何もリリースしてないけど)」というハッタリをかまして出演機会を増やしたという逸話が笑

グーグルの無い時代、ハッタリかましやすくていいですね〜

まあ実際自分のバンドや仲間のバンドの作品をリリースするレーベルとして活動するわけですが。

その後地元の小さなクラブやパーティー等で主にスカ系のバンドと共に演奏を続け着実に力を付けていた90年に、カリフォリニア州立大学でサウンドエンジニアリングを学んでいた友達のMichael Happoldt(通称Miguel)から学校のスタジオで録音してみないか?と提案されます。

実際には学校のスタジオへ深夜に侵入して勝手に録音するという計画なのですが、バンドはもちろん快諾(笑)

Miguelはギターとしても一時Sublimeに参加していて、SKUNK盤のクレジットではドラムのBudより前の3番手に名前が載ってたりします(MCA番は4番目に)。サウンドプロデューサー的な役割を務めるなどバンドに欠かせない一人で、後にLong Beach Dub Allstarsに参加したりSublimeフォロワーなバンドをプロデュースしてます。

jahpay

バンド初のオフィシャル音源。今年(2016年)カセットとヴァイナルで再発された模様

そんなMiguelを迎え制作したのがバンドの初めての正式カセット作品の”Jah Won’t Pay The Bills”。

この作品のA面の最初の4曲は”40oz to Freedom”にもそのまま収録されていますが、センスがやっぱりスゴすぎる!もうほとんどバンドのテイストが定まっています。そして当然ながらこのカセットがリリースされてから一気に南カリフォルニアを中心に人気が高まっていったそう。

んで、このカセットの成功に味を占めた?一行はまたしても大学に忍び込みアルバムの制作に取り掛かります。

Bradは「夜9時半〜翌朝の5時まで30000ドルの機材がある学校のスタジオをタダで使ってやったぜ。セキュリティーガードも気づいてなかったよ。」と回想していたそうですが、現在の日本だったらSNSとかで炎上しそうだね笑

とはいってもアルバムのトラッキングは地元ロングビーチのMambo Studiosで行われた模様で、主にミキシングを大学のスタジオでやってみたいです。クレジットには大学のスタジオではなくテキトーな名前を書いていると思われます。

Mambo StudioはSkunk Records御用達のスタジオで、その他にも同じくロングビーチのSST、Cruzなどのレーベルやパンク系やインディーバンド中心にレコーディングをしているスタジオのようで今も健在っぽいです。

そんな感じで若気の至とかヤンチャっぽい感じで製作された本作40oz. to Freedomの録音は、狙っては出来ない荒々しさが良いと思うんですよね〜

何か全体的にエフェクト掛け過ぎじゃない?って思えるギラついた音だったり変なバランスだったりするんですが、これが何故だかとってもカッコイイ。

もちろんバンドの楽曲自体が良いってのもあるのだけど、バンドが持ってそうな何でもアリな感じとか自由なマインドがラフな音像とマッチしていて好きなんですよね〜 録音作品の好きな所ですな。

s_brad

Bradと愛犬Lou Dogと息子。息子さんは最近Longbeachでステージに上がったとか。(pic from http://mankindprojectjournal.org/2013/09/sublime-and-the-drugs/)

色々なバンドのカバーが6曲入ってますが、フレーズや歌詞のサンプリングも多くてかなりヒップホップ感のあるフィーリングで楽曲を作ってるな〜と感じますね。

ここらへんがSublimeの良さであって幾多のフォロワーバンド達の大きな違いなんじゃないかな〜って思ってます。

つまりパンクとかレゲエとかラップを混ぜてSublimeっぽい楽曲は作れてもサンプリングとかのセンスが無いと本家のこの雰囲気が出ないんじゃないかと。

Bradが特別だったのか、それとも全体のケミカル的な事だったのかはメジャーデビュー前にBradが亡くなってしまったので分かりませんが真似しがたいサウンドですな〜

この本作は1992年に自主レーベルのSkunk Recordsからリリースされ、後に(といってもすぐ)MCA/Gasoline Alleyからリイシューされました。

Skunk盤とGasoline Alley盤の内容の差は結構あって、まずサンプリングした楽曲のライセンスの問題で2曲カットされ(一つは2曲目なのに笑)、これまたライセンスの問題でいくつかの曲中のサンプリングを消したりしてます。

あとSkunk盤のブックレットに表記されている各メンバーの名前がクソテキトーになってます笑(Brad→texus、eric→criket、bud→the yellow lover等…) あと中の写真が違ったり。

マスタリングにも差異があってSkunk盤は後発のものよりもダイナミックレンジが2-3dbほど広くて、よりオリジナルマスターのままの音質を楽しめます。多分あまりマスタリング工程で音を弄ってないっぽくて後発盤に比べると低音域が妙にデカイ笑

よりプリミティブな味わいが良いですね!

リマスター盤もそんなに悪くないけど、テープに問題があったのか、はたまたCD盤の劣化のためか?表題曲のサビでLRのバランスが明らかに崩れている箇所があったりハードコアな曲のダイナミックレンジが意図的に潰されれていたりします。

でも一般的な観点で考えると聴きやすいのはリマスター盤かも。

最終的にこのアルバムはアメリカ内だけでも200万枚のセールスとなったみたいで(でもいきなり売れちゃって薬物に手を出すことに…)、大学に忍び込んでミックスしたりというのを考えるとスゲーな〜と思いました。

やっぱり録音作品はクリアで質の高い音質だけが良いってわけじゃないんですね〜

わんぱくでも良い、面白く録って欲しい。ということです。

(終)

参考にしたページ(思い出せる限り)