CDにDLコードを付けて、DL用の方だけ音圧を上げる…というのはどうでしょう?

以前に比べて音圧戦争というトピックの認知度が少し上がったと思われる気がしますが、依然として世の中のPOPS/ROCK系の音源はマキシマイザー等によってダイナミックレンジを圧縮するスタイルが大多数ですね。

それがもう「スタンダード」として定着してしまっているので、ここから変化させるのは非常に難しいなぁ…という風に冷静に考えてしまうのが本音です。

やっぱり皆メジャーな音源に憧れているわけで、その憧れのサウンドに近づけたいという希望がありますからね。

個人的には、なんとかダイナミックレンジのある、マキシマイザーであまり潰されないタイプの録音も広まって欲しいな〜っと切に願っているので、バンドをレコーディングしてミックスする際はその旨を伝えるようにしています。

でも、それをいきなり受け入れて率先して他と違うスタイルに変えるのは、商業的成功を狙うバンドほどに難しいのだろうなぁ…と思ったりしてるので、なんというかジレンマを感じますねぇ

CDにDLコードを付けてみる

で、何か良い方法は無いかと考えて思いついたのが、CDにもDLコードを付けるという方法。

ただDLコードを付けるだけじゃなくて、DL版はマキシマイザーを使った従来の音圧上げバージョン、CDにはダイナミックレンジを確保したバージョンにするという案。

DLコードというのは近年アナログレコードやカセットテープでリリースされた音源によく付けられていて、記載されたリンク先から音源のMP3など圧縮ファイルをダウンロード出来るという代物。

アナログレコードやカセットテープ等のフィジカル音源からMP3等に変換して取り込む手間を省略するためのシステムですが、CDの場合も結局多くの人はmp3やらaac等に圧縮してスマホやPCに取り込んで聴くわけで同じことですよね。

で、このDL版の方を従来のマキシマイザーで音圧を上げたマスタリングにして、CDに入ってる方はダイナミックレンジが広いバージョンにすれば皆が幸せになれるのではないかと。

MP3変換による音質の劣化に対してクオリティコントロールが出来る

「そんなの手間なだけじゃねーか!というか何で音圧上げてるほうがmp3なんだよ!」ってもしかしたら思うかもしれませんが、マキシマイザー派な方にも非常にメリットがあります。

というのも、CD等からmp3やaac等に変換する際に起こる劣化をある程度コントロール出来るようになるからです。

どういうことかと言うと、まず現在CDを購入したリスナーの多くはスマホやウォークマン等で音楽を楽しむので、まずCDからmp3やaacなどに変換して取り込みますよね。

この変換の際にビットレートやコンバーターによって変換後の波形の最大値が変動します。(ビットレートが低い設定の場合だとさらに顕著で、大抵のリスナーは容量確保のためにそこまで高ビットレートを選択してないのではないでしょうか?)

そのため例えば元の波形の最大値が-0.1dBFSだったとしても変換後にデジタル領域での最大値0dBFSを超えてハードクリップを起こす可能性が高くなってしまうのです。

ハードクリップというのをザックリと表現するとデジタル特有の不快な歪みで、よく「音が割れてる」とか表現される現象も、このハードクリップのことを指している可能性が高いです。(もちろん、そうでない場合も多々あります)

で、マキシマイザーによって音圧を上げた音源は波形が常に最大値付近に張り付いているので、mp3変換後にいたる所でハードクリップが発生してしまう…という状態になりかねません。

ハッキリ言ってそんな状態になってしまっては、せっかく作った音源のニュアンスが大きく損なわれてしまいます。

かといって「mp3に変換するときは良いコンバーターを使って高ビットレートにしてくれ」と、リスナーに言ってもしょうがないっていうか伝わらないでしょう。

であれば、先に製作者側でハードクリップを完全に防いだ圧縮音源を用意して作品のクオリティーコントロールをした方が良いと思いませんか?

ちなみにISPリミッターでトゥルーピークを抑えてもMP3変換によるピークの変動は抑えられないらしいです。(izotopeのエンジニアの方が言ってた→ソース

選択肢が欲しい

まあ、ここで書いているのはあくまで「戯言」なんですけど、どうにか最近の作品でもダイナミックレンジのもうちょっとある録音作品を聴きたいのです。(ちなみにワタクシ目安だと最大音圧が-10LUFS(short-term)くらいまでが望ましい)

だって失われたダイナミックレンジって聴く側で戻せないから。。

いきなり全てをひっくり返すのは無理だし、白黒ハッキリ功罪を決めるのも色々な歴史や立場があるから難しい。

だから、せめて選択肢として、どちらのバージョンもアクセス出来る環境になればみんな幸せになれるのではないかなーって思います。

もしもダイナミックレンジの広いマスタリングに興味があるけど、従来のスタイルから逸脱するのが億劫だ…というバンドや担当者さんがいましたら、是非このCDにDL版を付けるというのを試してみて下さい。

…頼む〜ッ

(終)

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