UADxプラグインが一部ハイレゾ対応してる件(非公式)

UADプラグインがNativeで動くようになったね

2023年のブラックフライデー、何買った?

円安だしプラグインも無料のが増えたり製品数が飽和してるので一昔前に比べて祭り感がなくなったように思いますが、UADのセールがアホみたいな料金設定で一部で話題になってました。

安いのはまあ良いんですけど、昔から使っている人のアップグレード価格と無料で配っていたプラグインからのアップグレード料金が同じだったりしたもんで特に海外の人々はブーブー文句垂れてて少し荒れてましたね…笑

まあしゃーない気もするけど、直感的に整合性の取れない料金設定に見えたからなぁ…商売は難しい

それはともかくFirewireサテライトのApple Siliconサポート打ち切りを機にUADを封印していた私は新プラグインのSound City Studiosが欲しくなったので幾つか所持してるやつはあったものの、まんまとSignature Editionバンドルに手を出したのでした。

久々に色々UADプラグイン使ってたら、やっぱ使いやすくていいな〜もうこれでいいわーってなってます。

で、Reaperの内蔵オーバーサンプリング機能で遊んでいたら、UADxプラグインが384kHzでも動くことに気づきました。確かDSP時代は192kHzまでだったような。

それでPluginDoctorで確認したところなんと、LPFの位置も変わっててハイレゾ相当になっているじゃないか!…と

というわけで今回はUADxがサンプリングレートによってハイレゾ出力が出来るかも…の件についてのチラ裏レポっす

UADプラグインのLPF

結構有名な話ですが内部でオーバーサンプリングしているUADプラグインはプロジェクトのサンプリングレートが88.2kHz/96kHz以上の時でもアンチエイリアシングのLPFが24kHzあたりに設定されていて、いわゆるハイレゾ音源に対応していないものとなっています。

なぜそんなことをしてるかというのはDSP時代のパワーの妥協点だとかIMD対策だとか諸説あって、実際の本当のところは定かではないのですが、とにかくまあ日本の代理店からそういうタイプのプラグインはハイレゾ制作では使わないでねっていう公式声明?が出てたりします。

https://hookup.co.jp/support/posts/19855

UADネイティブを384kHzで動かしてみる

通常、内部オーバーサンプリングしているUADプラグインは192kHzで処理しているらしいですが、先に書いたようにRepaer付属のオーバーサンプリング機能で382khzに上げてみたところ普通に動作したのです。(ダウンサンプリングして処理してるのか?)

どうなってるかみんな大好きPluginDoctorで確認してみよう!

まずは普通に96kHzでの周波数特性を見てみます。

※UADx Avaron VT-737 @ 96kHz

見ての通りLPFが低めに設定されてます。

ちなみにインパルスレスポンスをみてみると、プリリンギングが生じているのでLPFがリニアフェイズであることが推察できますね。

※ちなみに96kHzからのOSで発生するプリリンギングは普通の音楽素材では気にする必要ない。

さあ、次にMetapluginを使って同じプラグインをx4にOSで384kHzにして比較してみましょう。(PluginDoctorの設定を384kHzにもできますが、それだと図の縮尺が変わって比較しづらい)

※Avaron VT-373のEQでハイを上げた時の比較。緑が96kHzでピンクが384kHz

このようにLPFが高くなり、EQのカーブもナイキスト周波数ギリギリまで繋がっています。

この画像ではPluginDoctorを96kHzで動かしx4 OSしているのですが、サンプリングレート自体384kHzにしたところ、LPFは約50000Hzあたりに設定されていました。

※通常のLPFの周波数をx2した感じになってる。

次に、一応非線形な特性も見てみましょう。

こんな感じで30000kHz以上の非線形歪みも出てますね。そうなると、その後のチェイン次第でIMDの問題も出てくるかもしれないのですが。

というわけで、こんな感じでハイレゾ動作も出来るみたい!…と思いきや全部が全部できるわけではないっていう。

できないプラグインもある

そもそも最初に試したのがFairchild 660(ドラムをクラッシュさせてた)で、それをPlugindoctorで観察した時にLPFが高くなってることに気づいたのですが、のちにOSしてないバージョンと比較してみると全体の周波数特性自体が高くなってるぞ…と

※使えないことは無いけど、本来の音とは変わってしまう。

ガッカリ…したのですが、その後また他ので試したら前述のように普通に使える物も存在することが判明。

352.8kHz以上で動かすと全体の周波数特性が高くなるやつもあれば、そもそも動作しない(音が出ない)ものもある。

コンプレッサーは出来なくてEQは出来る…わけでもなくて、しいていえば新しいプラグインで2020年以降のやつがダメなやつが多いような

周波数特性が高くなるのはプラグイン内部でIRとかでも使ってるのかな〜?って思ったり。わからん。謎。

UADシグネチャーエディションでの対応リスト

というわけで、せっかくなのでUAD Signatureバンドルに入ってたやつ全部調べました。

一応、352.8kHz以上の動作は非公式なので、それでなんか事故っても自己責任です笑

※内部オーバーサンプリングしている物のみ / △は基本大丈夫だけど若干周波数特性に差があるもの

プラグイン 対応
1176Rev A
1176LN Rev E
1176AE
API 2500 Bus Compressor
API Vision Channel Strip
Avalon VT-737 Tube Channel Strip
Capitol Mastering Compressor X
Century Tube Channel Strip X
Empirical Labs EL8 Distressor
Fairchild Limiter Collection X
Hitsville EQ Collection X
Manley Massive Passive EQ
Manley Tube Preamp X
Manley VOXBOX Channel Strip X
Oxide Tape Recorder
The EQP-1A
MEQ-5
HLF-3C X
Studer A800 Tape Recorder
Teletronix LA-2A Leveler Collection
UA 175B & 176 Tube Compressor Collection X

あ、Signatureに入ってないNeve 1073 EQもNGでした。

一応聴いてみよう

最後に一応、動作させたファイル置いときますね〜意味があるかどうか…自分の耳を信じましょう!

まずはドラムをDistressorにぶち込んだやつ。SuperiorDrummerを44.1khzで書き出して88.2kHにアップサンプリングしてミックスした音源をそのまま処理したのとReaper内でx4のOS(352.8kHz)で処理したものです。(なのでハイパーソニックな高周波はほぼ含まれてない)

88.2kHzでプレイヤーでページに貼るとなんか重かったのでDLしてくださいませ。

https://filedn.com/lxA5q2cEOKKYKFPilODzerQ/Audio%20Files/soundevotee.net/UAD/Distressor/

次にEQの処理で比較。

次にふざけた歌曲をAvaron VT-373のEQ(Treble)だけ上げてみたもので比較(こっちもハイパーソニックな高周波はほぼ含まれてない)

https://filedn.com/lxA5q2cEOKKYKFPilODzerQ/Audio%20Files/soundevotee.net/UAD/avaron/

どうでしょうか?え?サンプル音源がひどい??

それはともかく…Reaperってイイよね!

ハイレゾ環境での非線形歪みってさ…

UADネイティブプラグインはハイレゾ動作もするやつがあるってことが分かりましたが…

プラグインメーカーTDRのFabienが前から主張している「ハイレゾ環境で非線形歪みを直列で使うと余計なIMDが発生して音が濁ったりするかもよ」みたいな話もあるし、ハイレゾで動かすのが絶対正義っていうわけでもないとも言えます。

ソースが生楽器だったらまあ問題ないと思いますが、ソフトウェアシンセで高調波がガンガン出てるタイプのソースの場合は要注意。

まあ、高周波云々以前にどっちにしろ出音はなんか確実に変わって聴こえるので、各自お好きにどうぞって感じですね。

あくまで自己責任で!

次回の投稿は2026年

というわけで、久々の久々にブログ記事(死語?)を書きました!

昔と違って日本語のネット上に詳しいっぽい人も増えたしAIもいるしで、あとはインフルエンサーさんたちにまかせた!

2024年からちゃんと仕事しようと思うので、次回の投稿は2026年にします!

なんか質問などあればツイッターメールにて

(終)