
GoodhertzのWow Controlというプラグインにハマってます。
こちらのデベロッパーは2012年に始まり2014年に正式に設立されたという新興プラグインデベロッパーです。
近年ちょっと人気のバンドVulfpeckのメンバーと大学時代にビートルズのカバーバンドをやってたという仲でVulfcompresorという名前の付いたエフェクターを出したり、シンプルでモダンなUIで統一されてたりで何かフレッシュな雰囲気を持った会社ですね。
周波数の単位であるHzの由来となっている物理学者ハインリヒ・ヘルツにちなんだブランド名でサイトに登場するおっさんのイラストはヘルツさんとのこと。
で、そのGoodhertzが出してるWow Controlというエフェクターに最近ものすごくハマってるのです。
2016年に出たプラグインなので別に新しくないのだけど、最近まで知らなかった笑
Wow Controlはテープやレコードプレーヤー等のモーターを使った機器で音源を再生する時に発生するワウ/フラッターという「副作用」を再現することを目的としたエフェクターです。
近年多くのデベロッパーがリリースしているテープマシンのエミュレーターでもワウ/フラッターは付随していることが多いのですが、ワウ/フラッターだけを取り出すことが出来るプラグインというのはおそらくほとんど無かったのではと思います。
もちろんWow Controlでもテープの周波数特性とサチュレーションを加えるセクションもあるのですが、ON/OFFが出来るのですね。ちなみにこのテープのシミュレーションも中々良い仕上がり。
しかもアナログセクションはON/OFF出来るだけでなく、好きに効き具合をスライダーで調節出来ます。これは個人的にかなり好きな仕様。
ヒスノイズの量もかなり細かく調節出来るし、ヒスノイズ自体も良い具合の質感…
ランダマイズ機能もモジュレーションの変化の仕方に面白い質感を与えてくれて素晴らしい。
wet/dry機能ももちろんあるし、delayも付いているのでエコーみたいな効果も作れます。(テーププラグインにはあるものも多い)
まあ、とにかく良い具合な機能が満載でかなりお気に入りなのです。
「ワウ/フラッター」ってなんだ?って問われると中々言葉で説明は難しいのですが、要は音の「ゆらぎ」みたいなもので、正確に再生出来るデジタル機器では無い要素でアナログの質感を感じる一つの要因になると考えられます。
なぜ「ゆらぎ」が発生するかというと、テープマシンやアナログレコードのプレイヤーはモーターを使ってメディアを回転させる仕組みになっているためです。
レコードプレイヤーの針先やテープのヘッド部分に常に一定の速度でメディアが回っていないといけないのですが、何しろアナログなのでモーターの速度だったり芯が完全な円じゃなかったりすると回転速度にムラが出てしまい、その結果ピッチが微妙にズレてしまう。
その微妙なピッチのズレが全体の音にゆらぎみたいなモジュレーションを与えるというわけですね。
とはいえ、商業用のちゃんとしたテープマシンとかはワウ/フラッターの量は数%以下だったりするらしいのですけど。
でも昔の音源を聴いてみると結構それっぽい感じが強い気がするんだよね〜 特にあんま売れてないマイナーな作品は笑
そんなWow Controlで色々遊んでみると楽しいので、一部サンプルとして作ってみました。
まあ、デモで試してみた方が良いと思うけど!
モノラルのトラックにちょっとステレオっぽいフィールを足したい時にディレイを使ったりダブラー等を使いますが、このWow Controlはそういったタスクもかなり良い感じにこなせます。
【エフェクト無し】
【エフェクト有り】
あ、このボーカル音源はちょっと前にLewittが配布してた素材です。
https://www.lewitt.jp/blog/mi-tsukusushiyouyo
クラビに使ってみると。
【エフェクト無し】
【エフェクト有り】
う〜ん、良い感じ。
古い音源を聴いてみるとベースとかに妙な粘り気を感じる事があるのですが、それを狙ってみます。以前はサチュレーションが要因かと思ってましたが、LRの微妙な位相差とワウが合わさって出来た質感なのかなって思います。
【エフェクト無し】
【エフェクト有り】
アナログセクションは完全にOFFにしてますが、結構アナログっぽい質感を得る事が出来ている気がします。
マスタートラックにこういうモジュレーション系のエフェクトを使うのはちょっと勇気が入りますが、ほんの少し「隠し味」として使うと良い感じ。
【エフェクト無し】
【エフェクト有り】
これもアナログセクションは使ってませんが、結構周波数のバランスも変わって聴こえますね〜
あ、この素材はShaking Throughのエピソードです。↓
Shaking Through: Vol. 8, Episode 4
https://weathervanemusic.org/shakingthrough/thin-lips-vocals
アナログセクションをアグレッシブに使って遊んでみます。
【エフェクト無し】
【カセットテープっぽい?感じ】
さらにランダマイズ機能をアグレッシブに使うと、より面白い効果が作りだせます。テープが伸びたりモーターの回転数がおかしくなったりして再生音がウネウネするような質感を狙ってみます。
【うにょーん】
もうこれ原型とどめてねーぞ!っていう感じにも出来ます笑 キュルキュルした感じがまた良いのです。
【カオス】
ちなみにこの曲オーディオストックに投げたので誰か買ってください笑
https://audiostock.jp/audio/177415
ということで、GoodhertzのWOW Controlで遊んでみました。
ここまで読んでくれた人には十分伝わってると思いますが、個人的に本当に大ヒットしてます。
やっぱりアナログなフィールには憧れはあるんだけど、自分が欲しいアナログ感ってサチュレーションとは違うのではないかと思っていて、その時に要因の1つとして考えていたのがワウ/フラッターだったのですね。
で、ワウ/フラッターだけ再現出来るプラグインが無いのか探してみたら、まさにWow Controlがソレだったと。
高調波歪みやヒスノイズの量が細かく調整出来たり、OFFに出来たりと、今の自分がまさに求めていたものです。
完全にモダンなUIなので「テープシュミレーター」としてのプラグインと認識すらされてませんが、単純にテープ系のプラグインとしてもかなり優秀ですので是非試してみて欲しいですね!
ちなみに購入は日本の代理店のBeatcloudがおすすめ。Goodhertzのプラグインは1ドル=約100円のレートの価格になってて何かお得です。