マルチトラックをミックスする時、各トラックに「同じ設定」のEQを使うのと、バスでまとめてからEQを使うのとでは何か差が出るのか!?
検証してみましょう。
使うEQは非線形歪み(サチュレーションの類)が含まれないクリーンなデジタルEQであるReaper付属のReaEQを使います。
EQはHPFと3バンドのブースト&カット、ドンシャリ設定。
複数トラックの各チャンネルに使ったものと、バスに1つだけ使ったもので差分をとってみます。
レッツチェック!
とりあえず動画でどうぞ!
違いは無い
動画を見てわかるように差分は-180dBFSまで出ませんでした。
実際には量子化誤差が-250dBFS以下に出てますけど、これは単純なボリューム操作をしても出る誤差なので無視できるレベルです。
高調波歪みの出ないクリーンなデジタルEQは線形なプロセスなので加法性があり、各トラックに同じ設定のEQを使うことはバスにまとめてからEQを使うのと同じことなのですね。
なので同じ設定のEQを何トラック重ねても、特定帯域のブーストが累積することはないと言えます。
まあそんな使い方はCPUの無駄遣いだけどね。
サチュレーションがあると別の話になる
今回のテストはあくまでクリーンなデジタルEQの場合です。
アナログモデリング系のサチュレーションEQの場合は各トラックに使うのとバスでまとめて使うのでは差が出てきます。
サチュレーション=非線形性を持っているので、加法性が成立しなくなるためです。
もっとも、このサチュレーションの類は各トラックに使った方が全体に良い感じをもたらす…という言説もあります。
それはまた別の話になるので、今回は割愛しますけどね。
以上
今回の結果を踏まえた実践的な話を挙げるとすると、ミックスの初期段階で全体的に例えば低音寄りだったらマスターEQでバランスをとってから、各トラックのエフェクトを使うと言うワークフローでも問題ないという事ですかね。
線形性のあるプロセスでも、やたらと使いすぎると量子化誤差が蓄積していくデメリットが挙げられますが、通常使用の範囲では大して問題にはならないのではないかなーっと思っています。
検証はしてませんが笑
まあ、みんなやりたいようにやればいいでしょ!?
(終)